厚生労働省から先月、2024年度の公的年金支給額の発表がありました。物価や賃金の伸び率を反映し、23年度から2.7%引き上げられます。2.7%の増額は、32年ぶりの好材料となりました。
しかし、その一方で「マクロ経済スライド」の影響も2年続けて受け、名目賃金変動率3.1%に比べて0.4ポイント低い増加率に抑えられています。
公的年金には、「マクロ経済スライド」制度があるものの、安定した受給が期待でき、物価上昇に対応する柔軟性を備えています。この点で、個人年金と比較すると、公的年金には、特にリスクに対する安心感が際立っています。一般的な個人年金の場合、インフレ(物価上昇)に対応できないという弱点があり、保険会社の倒産リスクに晒される可能性もあります。
公的年金制度に未加入でありながら、一般の個人年金には加入しているという選択は、本末転倒とも言えるでしょう。公的年金は社会的な安定感を提供し、幅広いリスクに対応する仕組みが整っています。個人年金や生命保険は、公的年金制度を補完する形で活用すべきだと思います。