
従業員の皆さんが健康でいきいきと働ける職場づくりは、会社の成長にとって欠かせないテーマですよね。しかし、日々の業務に追われる中で、一人ひとりのストレスや悩みに気づくのは簡単なことではありません。
先日、厚生労働省から2025年度の「過労死等の労災補償状況(仕事が原因で起きた病気やケガに対して国から支払われる補償の状況)」が公表されました。 実は今、職場のストレスが原因で心の病気になってしまうケースが急増しています。今回は、この最新ニュースをわかりやすく紐解きながら、会社として「今すぐできる対策」をお伝えします。
今回の発表によると、昨年度に労災(労働災害:仕事が原因で起きた病気やケガ)として認められた件数は、4年連続で過去最多となる「1,310件」にのぼりました。
その内訳を見てみると、過労による脳・心臓疾患は224件と前年度より少し減っているのに対し、うつ病などの「精神障害」は1,086件と、前年度よりも大きく増加しています。 つまり、長時間の働きすぎによる体の病気だけでなく、人間関係や業務のプレッシャーといった「目に見えないストレス」が原因でダウンしてしまう方が非常に増えているという現状があります。
では、何がそこまでのストレスになっているのでしょうか?
精神障害の原因を調べてみると、もっとも多かったのは上司などからの「パワハラ(パワーハラスメント:職務上の地位を背景にした嫌がらせ)」で222件でした。
そして見逃せないのが、次に多かった原因です。 お客様からの悪質なクレームである「カスハラ(カスタマーハラスメント:顧客や取引先からの著しい迷惑行為)」と、「セクハラ(セクシュアルハラスメント:性的な嫌がらせ)」がいずれも127件で続いています。
特に近年はカスハラが大きな社会問題となっており、社内の人間関係だけでなく、外部からのストレスからも従業員を守る仕組みづくりが急務となっています。
数字だけを見ると「うちの会社は大丈夫だろうか…」と不安になってしまうかもしれませんが、焦る必要はありません。大切なのは、トラブルが大きくなる前に「予防」と「早期発見」ができる環境を整えることです。
今日からできる具体的なステップとして、以下の3つを見直してみましょう。
社内に相談窓口を設置していても、「誰が対応するのか不安で相談できない」という声をよく耳にします。プライバシーが守られる外部の窓口(社労士や専門機関など)を活用するのも効果的です。
お客様からの理不尽な要求に対して、従業員が一人で抱え込まないよう「会社としてこう対応する」という明確な基準やルールを定め、従業員を守る姿勢を示しましょう。
パワハラを防ぐためには、上司自身が「指導」と「ハラスメント」の境界線を正しく理解することが不可欠です。定期的な研修を行い、風通しの良いチーム作りをサポートしましょう。
従業員の皆さんが心身ともに健康で働ける環境は、会社の最も大きな強みになります。「何から手をつければいいかわからない」「自社の対応に自信がない」と悩まれるのは、それだけ従業員を大切に想っている証拠です。
対策は、一度にすべてを完璧にする必要はありません。まずは現状を振り返り、今できることから少しずつ進めてみてはいかがでしょうか。 もし、社内のルール作りや体制整備で行き詰まったときは、私たちのような専門家を頼ることも一つの手です。無理に自社だけで抱え込まず、うまく外部の力も借りながら、誰もが安心して働ける職場を一緒に育てていきましょう。
厚生労働省 【令和7年度「過労死等の労災補償状況」を公表します|厚生労働省】