
パート・アルバイトの方を雇用している企業様、そして短い時間で働いている皆さまに、非常に重要なお知らせです。法改正により、令和10年(2028年)10月1日から「雇用保険の適用範囲」が大きく拡大されることになりました。
どのような変更があり、どんな準備が必要になるのか、わかりやすく解説いたします。
これまで、雇用保険に加入するための条件の一つは「週の所定労働時間が20時間以上」であることでした。これが、改正によって「週10時間以上」に引き下げられます。
| 区分 | 改正前 | 改正後 (令和10年10月〜) |
| 週の所定労働時間 | 20時間以上 | 10時間以上 |
★具体的にはどういうこと?
「1日5時間のシフトを週2日」「1日3時間のシフトを週4日」といった働き方をしている短時間勤務の方も、新たに雇用保険の加入対象となります。
企業側には次のような影響があります。
① 対象者の増加
パート・アルバイトなど、加入対象となる従業員が増えます。
② 事務手続きの増加
など、労務管理の負担が増える可能性があります。
③ 保険料負担の増加
会社も保険料の一部を負担するため、人件費が増加することがあります。
④ 社内整備が必要
などの対応が求められます。
働く側にも大きなメリットと変化があります。
① 雇用保険に加入できる人が増える
短時間勤務でも加入できるため、セーフティネットが広がるのが特徴です。
② 失業給付などの対象に
条件を満たせば、
③ 保険料の負担が発生
一方で、給与から雇用保険料が天引きされるようになります。
対象者が増えることで、企業側には新たな手続きやコストが発生します。直前になって慌てないよう、以下の準備を順番に進めていきましょう。
① 雇用保険料の負担シミュレーション
雇用保険料は、会社(事業主)と働く人(労働者)の双方で負担します。まずは「自社に週10時間以上20時間未満で働く人が何人いるか」を把握し、会社としてどのくらい保険料負担が増えるのか、事前に計算して予算に組み込んでおきましょう。
② 従業員への丁寧な説明(給与天引きについて)
新たに加入対象となる従業員にとっては、万が一の際の保障ができるという大きなメリットがある反面、「毎月のお給料から雇用保険料が天引きされる(手取り額が少し減る)」という直接的な影響が出ます。トラブルを防ぐためにも、「なぜ引かれるのか」「どんなメリットがあるのか」を事前にしっかりと説明し、理解を得ることが大切です。
③ 社内規程の整備・体制の見直し
今回の改正に合わせて、パート・アルバイト向けの「就業規則」や「雇用契約書」の記載内容を見直す必要が出てきます。会社の状況や方針によって取るべき対応は変わるため、自社に合ったルールづくりが必要です。
令和10年(2028年)10月の雇用保険適用拡大は、多くの企業や従業員の皆さまに影響を与える重要な法改正です。施行まではまだ期間があるように見えますが、対象者の把握や保険料の試算、従業員への丁寧な説明、そして社内ルールの見直しなど、実務的な準備には想像以上に時間がかかります。
直前になって慌てることのないよう、まずは「自社に週10時間以上20時間未満で働く人が何人いるか」という現状把握から、少しずつ準備を進めてみてはいかがでしょうか。
なお、保険料の計算や就業規則の見直しなど、実務を進めるうえでご不明な点やご不安なことがございましたら、当事務所でもご相談を承っております。必要に応じて、いつでもお気軽にお声がけください。
※1 同一の労働者が複数の事業所において雇用されている場合においては、雇用保険の被保険者となるのは、原則として当該労働者が主たる賃金を受ける一の事業所に限られます。他の事業所については、所定労働時間が基準を満たす場合であっても、被保険者となりません。
※2 現在、複数の勤務先の労働時間を合算して雇用保険に加入できる「マルチジョブホルダー制度」がありますが、2028年10月の適用拡大(週10時間以上)以降における本制度の取扱いについては、現段階ではまだ「未定」となっています。
今後の国の審議によって詳細が決定される予定ですので、新たな動きがありましたら随時お知らせいたします。