先日「敬老の日」にちなんで、総務省から高齢者の人口や働き方に関する最新の統計が発表されました。ニュースなどで耳にされた方も多いのではないでしょうか。
「長年勤めてくれた従業員がもうすぐ65歳になるけれど、今後どう対応しよう?」
「人手不足の解消に、シニア層の採用を考えている」
そんな経営者様や人事ご担当者様もいらっしゃるかもしれません。
今や、シニア世代が職場で活躍することは特別なことではなく、当たり前の風景になりつつあります。
今回は、最新の統計データと2026年の法改正を踏まえ、これからの企業に求められる「シニア世代が輝ける職場づくり」について、わかりやすくお伝えします。

総務省が2026年9月に発表した統計によると、日本の65歳以上の人口は3,624万人となり、総人口に占める割合は29.6%と過去最高を更新しました。
さらに注目したいのが「働くシニア世代」の増加です。
65歳以上の就業者数は943万人となり、22年連続で増加し、過去最多を記録しています。
年齢別に「その年代で働いている人の割合」を見ても、次のようになっています。
いずれの年代でも就業率は過去最高となっており、65歳以降も働く方が増え、シニア世代の活躍の場が広がっていることがわかります。
豊富な経験やスキルを持ったシニア世代は、人手不足に悩む企業にとって、非常に頼もしい存在となっています。
※人口は2026年9月15日現在の推計値、就業に関する数値は2025年平均です。
65歳以降も働く方が増えている今、企業側にも「シニア層が無理なく、長く活躍できる環境」を整えることが求められています。
例えば、フルタイム勤務だけでなく、「週3日勤務」や「1日4時間の短時間勤務」など、本人の希望や健康状態に応じた柔軟な働き方を用意することが考えられます。
また、長年培った知識や技術を若い世代へ引き継ぐ「指導役」として活躍してもらうことも、一つの方法です。
本人の希望や適性を踏まえながら役割を考えることで、仕事へのやりがいやモチベーションの向上にもつながります。
大切なのは、年齢だけで働き方を決めるのではなく、一人ひとりの状況に合わせて、能力を発揮できる環境を整えることです。
シニア世代の雇用を進めるにあたって、企業が押さえておきたいポイントを2つご紹介します。
1.雇用契約と就業規則(会社のルールブック)の見直し
シニア世代に長く活躍してもらうためには、雇用契約や就業規則の確認が大切です。
例えば、定年後に再雇用する場合、これまでの正社員としての働き方から、パートタイムや嘱託社員などへ雇用形態が変わることがあります。
その際には、「お給料はどうなるのか」「勤務時間や日数はどうするのか」など、本人と十分に話し合い、変更後の労働条件を明確にしておきましょう。
また、法律上、企業には次の対応が求められています。
65歳までの雇用確保については、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかの措置が必要です。
一方、70歳までの就業機会の確保については、継続雇用などに加え、一定の条件のもとで業務委託などの方法も認められています。
自社の定年や再雇用に関するルールが、現在の法律や実際の運用に合っているか、この機会に確認しておきましょう。
2.労働災害(仕事中のケガや病気)への配慮
年齢を重ねると、筋力や視力などの身体機能が変化することがあり、転倒などの労働災害への注意が必要になります。
特に、2026年4月からは、改正労働安全衛生法により、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善などが、事業者の努力義務となりました。
例えば、次のような取組が考えられます。
こうした取組は、シニア世代だけでなく、すべての従業員が安心して働ける職場づくりにもつながります。
大切な従業員と企業を守るためにも、日頃から安全対策を見直しておきたいですね。
シニア世代が長く働ける職場づくりを進める企業では、助成金を活用できる場合があります。
代表的な制度が、「65歳超雇用推進助成金」です。
この助成金には、定年の引上げや定年制の廃止、高年齢者が働きやすい雇用管理制度の整備などを支援するコースがあります。
ただし、助成金にはそれぞれ支給要件があり、単に高齢者を雇用しただけで必ず受給できるものではありません。
まずは自社の雇用制度や職場環境を見直し、その改善に活用できる制度がないか検討してみるとよいでしょう。
シニア世代が持つ豊かな経験やノウハウは、会社にとってかけがえのない財産です。
若い世代とシニア世代が互いに助け合い、それぞれの強みを発揮できる職場は、会社の未来をさらに明るくしてくれるはずです。
まずは「いまの職場の環境やルールで、シニア世代は働きやすいかな?」と、現状を見渡すところから始めてみませんか。
年齢にかかわらず、誰もが安心して自分らしく働き続けられる職場づくり。その小さな一歩が、従業員の笑顔と企業のさらなる成長につながっていくはずです。
厚生労働省【高年齢者の雇用】
厚生労働省【高年齢者の労働災害防止のための指針】(2026年4月1日適用)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構【65歳超雇用推進助成金】(2026年度)